2009年02月28日

籠釣瓶花街酔醒 ラスト

丹兵衛 「いや、恋路にかけては丈助どんとひとつにされて
     たまるもんか。これでもう八木谷中へ行ってみな
     って。あっちからも丹兵衛さん、こっちからも
     丹兵衛さんと、両側からあまっこが出てきて、
     まるで芝居の助六のようだ。」

いや、ありえない。そんな顔はしてないので、冗談だろう。
ここで丈助も負けずに自慢話をして張り合う二人。
酔っぱらっているので、エスカレートして喧嘩にまで発展
して、一騒ぎ起こしそうな雰囲気に…。

すると次郎左右衛門がすかさず「ここは見栄の場所。わしの
恥になるから静かにしておくれ。」と二人をたしなめる。
おきつにも「お初回からそんな野暮をなさいますと、花魁に
嫌われますよ。」と、やんわりと、でもグサリと釘を刺される。
こうして「なるほど確かにここがすんぼう(辛抱)どころだ。」
と丹兵衛。丈助も「丹兵衛どんがそういうなら、わしも何も
言いますまい。」と仲直りをして一件落着。
二人の仲が早くも直ったのを見て…

佐 野 「早く直るというも、恋より他はござらぬなぁ。」

そこへ、遅れてやって来た治六がやってくる。
なんと、あんまり急いで、五十間を曲がるのを間ちげぇ、
三谷辺りへつん抜けて、方々へ巡り、漸くここまで回って
めえりやした…と、最初の予想通り道を間違えていたのだ。

治六が佐野の連れの客、絹商人の丹兵衛と丈助に向かって
八ツ橋花魁が次郎左右衛門に惚れていると自慢するのだった。

そして、治六にも花魁がついた。
初菊花魁(澤村宗之助)に「一服、おあがりなんし」と、煙管
を渡され、たじたじの治六。相当嬉しそう。

治 六 「なんだか、こう…、もってぇねぇような感じで
     ごぜぇますなぁ〜」

佐 野 「ふふふ、治六。みっともねぇ。黙っていなせぇ。」

と、たしなめる次郎左右衛門。
兎に角「恥」を嫌う次郎左右衛門。
体裁を相当気にする性格なのが見て取れる。
posted by 黒子(ほくろ) at 23:21 | Comment(4) | 世話物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月25日

籠釣瓶花街酔醒 52

どういう訳か、遅れてまだ座敷に顔を出さない、下男の
治六の話で盛り上がっている。
次郎左右衛門の連れの二人は、大阪屋絹商人の丹兵衛と
丈助で、二人には九重花魁と七越花魁がついている。

おきつ 「本当に治六さんはひょうきんでおいでなさいますから、
      2階へおいでなされたら、花魁方におもしろがられ、
      始終は良い人にとられましょうよ。」
 
丹兵衛 「いやあ、あんな田舎者がいい人に取られるくらいなら、
      わしらなんぞは尚更に、二階中の相場が狂うわ。」

丈 助 「ああ、そうだ、そうだ。」

前にも紹介しましたが、吉原では引き手茶屋に先ずいって
それから見世の二階に通され、そこで花魁を待つしくみに
なっています。だから二階なんですね。

九 重 「同じ田舎のお方でも、始終江戸へお来なますせいか
      ほんにほどがようざます。」

この花魁のお世辞に、田舎者の二人も嬉しそう。

丈 助 「もしもし花魁、丹兵衛どのが程が良ければ、わしも
      ほどが良いはずだが? なぁに、女にかけてはどこに
      行っても、どっちがどうとも言えぬ腕前だ。」

と自慢げだが、どっちもどうとも言えないくらいモテなさそうな
お二人だが…


posted by 黒子(ほくろ) at 23:18 | Comment(0) | 世話物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月24日

籠釣瓶花街酔醒 51

舞台が完全に回転して客席から見えなくなるまで
演技を続けます。

さて、次の場面はいよいよクライマックス!
回ってくる舞台の方も、既に演技を始めています。

第三場 兵庫屋八ツ橋部屋縁切りの場

折しも佐野次郎左右衛門の座敷は宴もたけなわ。
太鼓持ちのたわいないお笑い芸に笑いが起こる。
次郎左右衛門の連れの客も満足な様子。
座敷には九重花魁など、それぞれのお相手の花魁も
勢揃いしている。

連れ1 「太鼓持ちの芸づくしを、早く治六どんに見せて
      やりてえが、何をしているのだろうな?」

連れ2 「間道あたりで道を違え、千住の方へ行きは
      せぬか?」

佐 野 「いやいや、この間ね、吉原へ一緒に連れて
      来た時、今度来たとき花魁を買わせてやると
      言いました。まだか〜まだかと矢の催促。来るな
      と言っても、すぐに後からやって来ますよ。」

そんな次郎左右衛門の言葉に、どっと笑いが起きる。

治六というのは、次郎左右衛門の下男で、中村歌昇が演って
いましたね。

次郎左右衛門は良い気分になっている。
同郷の者に、自分が吉原で上客として扱われ、いかにも勝手
知ったるという、洗練された姿を見せびらかして優越感に浸って
いるんですね。しかも自分のお相手が評判の八ツ橋花魁。
鼻高々なんです。
posted by 黒子(ほくろ) at 00:38 | Comment(0) | 世話物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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